永遠のマドンナ ひし美ゆり子 オール・オブ・アンヌ

アンヌという存在を意識し始めたのはいつ頃からでしょう。
リアルタイムで観ていたときには決して意識なんかしていなかった、と思います。
綺麗だなーとも可愛いなーとも感じなかった。少なくとも記憶の中では。

それがいつの間にか、ウルトラセブンというドラマの中で欠かせない存在になって行きました。

ウルトラ警備隊にとってのアンヌ

モロボシ・ダンにとってのアンヌ。
キリヤマ隊長にとってのアンヌ。
フルハシにとってのアンヌ。
ソガにとってのアンヌ。
アマギにとってのアンヌ。

それぞれのアンヌが良い具合に自己主張をし、ドラマを形作っています。

友里アンヌというエキゾチックな名前も良かったのかもしれません。

そしてあの可愛らしい風貌からは想像し難いハスキーボイス。
長い髪も短い髪もどちらも似合う顔。長ければ女性らしく、短ければボーイッシュに。

当初はアンヌ役は別の女優さんに決まっていたとのこと。運命のいたずらでしょう。
その女優さんには申し訳ないけれども、変わってもらって良かった。
アンヌ無しにはウルトラセブンの成功はなかったとまで私は考えています。

劇中である忘れられない場面があります。

実相寺昭雄監督作品である「狙われた街」

ダンが古いアパートの中に怪しい男を追って入ります。
下町のアパートの外でダンを待つアンヌ。
近くの民家から流れる野球の実況中継。
アンヌのわずかに揺れる頭に遮られる日光。
実相寺演出の最高峰ではないでしょうか。

最終回、傷付きながらも病院から逃げ出したダンに優しく接するアンヌ。
そしてダンの告白。驚くアンヌ。それでも健気に「宇宙人も人間もない」と。

泣けます。密かに思いを寄せていたダンが宇宙人だと分かったときの驚き、葛藤。
それにもめげず、ダンを励ますアンヌ。

そして涙の結末へ

ダンとアンヌの恋物語はここで確実に終わったのです。